「誰も掘り起こせていないフロンティアとしてのやりがいを感じています」
武田三範(カテゴリー・マネージャー)
JFOODOが創設されたのは3年半ほど前ですが、私自身は3年目になります。JFOODOが取り扱う品目中の日本酒と日本茶、和牛のカテゴリーマネージャーを務めています。一般企業でいうブランドマネージャーのような役割で、大きな戦略の方向性を示したり、代理店とやり取りするうえでの先導役を務めています。
JFOODOの前には、富士フィルム、トヨタ自動車、スターバックスといった企業で広告宣伝、海外マーケティング、新規事業立ち上げなどを担ってきました。日系企業と外資系企業でマーケティングを担ってきた経験から、最終的な自身のキャリアとしては、自分自身の経験値を自らの仕事を通じて日本に還元できたらと思うようになりました。そのことから、以前から関心があったJETROのホームページを見るようになり、JFOODOの採用を知った際に、この仕事こそこれまでの経験が生かせると考え、応募しました。
日本企業と外資系企業のどちらも経験して思うことは、ブランディングに対する考え方の違いです。欧米企業ではマーケティングが企業の意思決定レベルまで浸透していて、製品、売り方、価格、プロモーション、顧客への対応に一貫性があります。一方、日本企業においてマーケティングは機能の一部としての扱いであり、その結果、製品とそれ以外の一貫性が欠けがちです。また、日本のブランドはスペックなどの製品属性の訴求を重視しますが、欧米ブランドは情緒的価値や精神的価値まで乗せることで付加価値を価格に反映することに秀でており、そうしたマーケティングの知見が、いまとても役立っています。
武田三範◎京都府出身。富士フイルムに入社し、国内マーケティング、海外営業を担当。その後トヨタ自動車に入社し、国内宣伝、海外マーケティングを担当。スターバックスコーヒージャパンでは、新規事業立ち上げ等を担当。2017年JFOODOに入社し、カテゴリー・マネージャーを務める。
例えば現在日本茶は、マインドフルネスというキーワードと結びつけて発信しています。日本茶にはテアニンという成分が多いのですが、テアニンはアメリカの西海岸で流行しているマインドフルネスに良い効果があると言われています。従来でしたら、テアニンを多く含有しているというスペックの優位性を伝えるだけに留まっていたと思うのですが、それをマインドフルネスに結びつけ、消費者の生活価値にまで落とし込んでその世界観全体を伝えていくことで、他国産の緑茶との分かりやすい差別化が出来ていくと考えています。
日本酒に関しては、日本酒がどのようなものか、一般の海外の人には想像すらつかないというそもそもの課題があります。これについては、魚介類には白ワインを合わせるというイメージがあるものの、実は科学的には日本酒の方が合うことから、その点をコアコンセプト、表現としては情緒的・精神的な価値に落とし込みながらプロモーションを行っています。食に対して敏感なフランスの記者からは「New Discovery!(新たな発見だ!)」と驚かれました。
私は出張で日本各地にもよく行きますが、東京以外の地域が人口減により活力が失われつつあることを感じてきました。日本には良い農林水産物・食品がたくさんあるにもかかわらず、欧米のようなブランディングが出来ていないことも一因だと思います。
例えばヨーロッパのワイナリーは、自分たちのブランドの強みや消費者がもとめているポイントをよく理解していますし、ボルドーやブルゴーニュなど、特産品を起点に地域に人を呼び込むことにも成功しています。日本の生産者も自主的にブランディングを理解して行えるようになり、そうした土壌が出来ることで新たな職と雇用が生まれ、地方の活性化につながるよう支援することが私の目標です。簡単なことではありませんが、この仕事は国レベルの仕事であり、誰も掘り起こせていないフロンティアとしてのやりがいを感じています。
JFOODO作成・日本酒のプロモーション動画
「オールジャパンとして組み立てていけること、大きくプロモーションを打っていける点が良いところです」
渡邉彩子(海外プロモーション事業課)
渡邉彩子◎東京都出身。ハナマルキに入社し、業務用営業の支援、海外営業を担当。その後JFOODOに入社し、日本茶と水産物のプロモーションを担当。
JFOODOで働き始めてちょうど1年が経ちました。担当は日本茶と水産物です。具体的な仕事は、代理店とともに現地市場向けのプロモーション内容を考えることがメインなほか、施策を考えるうえでは日本企業とのコミュニケーションも図ります。
前職は食品メーカーのハナマルキで、海外向けの営業を担当していました。主に現地に赴きバイヤーとの商談を行っていましたが、味噌も日本産ですし、JFOODOの職務に前職との親和性を感じて応募しました。メーカーの立場で海外へものを売ってきた経験を生かして、日本企業と海外の消費者が相互にハッピーになれるような仕事をしていきたいと思っています。
水産物では、輸出品目を代表するホタテとブリ(ハマチ)とタイの3品目に絞ってプロモーションを行っています。香港と台湾が主な対象です。JFOODOに入った昨年10月から水産物のプロモーションの準備に取り組み、今年1月には台湾へ出張して施策を実施しました。小売店や外食店にJFOODOが作製したポスターや販促用ツールが置かれているのを見ることで、現地の人に受け入れられていることを実感しました。いまはコロナの影響で輸出が厳しい状況ではありますが、企業の方々のモチベーションを維持することに努め、数字としてお返しすることが直近の課題です。
マインドフルネスに結びつけて訴求している日本茶については、現在3つの柱を軸にオンラインに特化したプロモーションを行っています。デジタル広告とInstagramによる認知の拡大、片付けコンサルタントのこんまりさんをアンバサダーに起用したPRの推進、そして、オウンドメディアのコンテンツ制作と発信です。
ミレニアル世代をターゲットとしているので、商品にまつわる背景やストーリーを重視し、生産者や茶商の顔が見えるようなコンテンツを制作しています。またamazonなどのECサイトに消費者を誘導し、購入に結び付けることを想定したプロモーションを実施しています。
私自身は日本茶と水産物の担当ですが、JFOODOの取り扱い品目にはワインや米粉などほかにも色々ありますので、他の品目の担当者がどのようなプロモーションを行い、どのように課題を解決しているのかを学ぶ機会が多々あり、広い視野を得るためにもプラスになっています。
JFOODOが日本産品のプラットフォームとしての広告宣伝を担うことで、オールジャパンとして組み立てていけること、大きくプロモーションを打っていける点にやりがいを感じます。私はプロモーション事業を進めるチームにいますが、調整役を担ってくれる人が内外にいて、相談できる人が必ずいることも心強く、安心して働くことができる環境です。また、チームのスタッフは皆異なる業界から来ており、何かしらの道のプロフェッショナルであることから、それぞれの業界での進め方や考え方の違いを聞くことができて刺激になりますし、それが組織としても大きな強みになっていると思います。
JFOODO作成・日本茶のプロモーション動画
「広い視野のもとに施策を打ち出すことが、JFOODOならではのダイナミックな面白さです」
澤邊大輝(海外プロモーション事業課)
澤邊大輝◎愛知県出身。パナソニックに入社し、デジタルカメラの中南米・欧州向けマーケティングを担当。その後2年間のアメリカ派遣を経て、フィリップス・ジャパンに入社し、メンズシェーバーのマーケティングを担当。2019年JFOODOに入社し、米粉とクラフトビールのプロモーションを担当。
JFOODOの前は家電メーカーでマーケティングをしていました。最初は日系企業で海外向けのマーケティングを担当し、その後は外資系メーカーで日本向けのマーケティングを経験しました。ただ、大学時代の専攻から食文化の研究を個人的に続けており、食への情熱とそれまで培ってきたマーケティングスキルの両方を生かすため、JFOODOに転職しました。在籍してから1年2カ月が経ちますが、現在は米粉のチームリーダー兼クラフトビール担当として勤務しています。
メインの業務は、戦略の策定から始まる現地での施策企画です。アメリカ、ドイツ、フランスが担当2品目の対象国で、各国で行うプロモーションの準備も行います。業務委託先を通して、イベント企画やHP制作を手掛けています。
前職での経験は非常に生きてきます。国内メーカー勤務時は、与えられた製品の何を訴求すれば現地の消費者に響くかを考えることが重要でした。現地の生活文化を研究したうえでアピールポイントや価値を絞り出し、販売戦略の中で実行し、PDCAを回すことを繰り返しました。その流れ、そして感覚がいまの業務にも共通しています。一方、外資系メーカーで国内のマーケティングを担当した際には、プロモーションを実行するための具体的なマーケティング方法を主として考えてきました。
そのため、消費者が購買に至るデシジョンメイキングをする際に辿る過程を踏まえ、いつ、どこで、何を訴求するかを考え実行してきました。その経験とスキルが今も役立っています。また、大学4年間と仕事で2年間、計6年間アメリカで生活していたこともあり、現地の生活文化を理解していることも強みだと考えています。
メーカーとの違いは、よりマクロな視点が問われる点です。メーカーでは個々のブランド及び製品視点を軸としたマーケティングになりますが、JFOODOではより大きな品目全体の視点でマーケティングプランを遂行します。
例えばクラフトビールの場合、AというブルワリーとBというブルワリーでは、戦略や方向性がまるで違ってきます。日本には400近いブルワリーがありますが、それを1つの大きな日本産クラフトビールとしてアピールするためには広い視野のもとに施策を打ち出す必要があり、それがJFOODOで働いてこそのダイナミックな面白さになっています。
米粉のプロモーションでは、昨年アメリカ・ロサンゼルスのベーカリーで消費者を対象とした試食会を行い「こんなに美味しいグルテンフリーのパンは食べたことがない!」と絶賛の声を頂きました。ベーカリーをターゲットに訴求している米粉は、グルテンフリーでありながら美味しいこと、さらに作業性が良いという特長を、各国のパン職人やパティシエの協力も仰ぎながらプロモーションしています。
クラフトビールも米粉も、数字のシェアだけではなく心のシェアも上げていきたいですね。
「この職場での3カ月は、大企業での3年に当たると言われました。それほど短期間の内に幅広い仕事に携わることができます」
染谷清華(海外プロモーション事業課)
染谷清華◎埼玉県出身。いすゞ自動車へ入社し、アフターセールス部門の海外事業企画部に所属。その後JFOODOに入社し、日本茶と水産物のプロモーションを担当。
私は今春入社し、JFOODOに来て約半年になります。日本茶と水産物を担当しています。これまでに水産物については縁起を重んじる中秋節や春節の時期に魚を食べる習慣がある香港・台湾で、日本産のホタテ、ブリ(ハマチ)、タイをそれぞれ“順風満帆" “立身出世" “長寿富貴"の幸運をもたらす「日本開運魚」として大規模なプロモーションを行っています。また、消費拡大を目指して、外食・小売店舗で掲出する販促ツールや、現地の有名TV番組や人気YouTuberとタイアップ企画を制作し、展開しています。
また、消費拡大を目指して、外食・小売店舗で掲出する販促ツールや、現地の有名TV番組や人気Youtuberとタイアップ企画を制作し、展開しています。一方、日本茶は心と体を整える飲料「マインドフルネス・ビバレッジ」として位置づけ、米国でオンラインプロモーションを展開し、マインドフルネスに関心の高いミレニアル世代の日本茶の消費拡大を促進しています。
私は異業種、異職種から転職しているので、何もかもが初めてのことばかり。仕事の進め方もルールも違いますし、この半年間は慣れることに精一杯でした。前職はいすゞ自動車で、海外向けアフターセールス事業でいかに収益を生み出すかを考える企画部署にいました。あるとき仕事の一環でJETROのセミナーに参加したのですが、日本企業の海外進出を公的にサポートし、日本経済の発展を支える仕事があることを知り感銘を受けました。自社製品という枠に限定されず、日本企業の海外進出を幅広くサポートできることに惹かれて転職し、現在に至ります。
いまはコロナで在宅勤務が多く、日本の水産物、日本茶の生産・販売にかかわる方等に直接お会いする機会がなかなかないのですが、メーカーで働いた経験を、今後企業やお客様との関係性を築くのに役立てたいと思っています。また、担当する2品目をどの国・地域でどのようにプロモーションすることで輸出拡大できるかを検討する来年度の戦略策定の際には、前職で学んだ多角的な視点を生かしたいと思います。
職場では皆が能動的ですし、能動的であることが求められます。その分意見も言いやすく、とても風通しが良い環境です。フリーアドレスなので各自が好きな場所で仕事をし、必要があれば皆がすぐに集まり話し合い、情報共有も活発です。一人ひとりの意識が高く、切磋琢磨し合っていることを感じます。また、女性が働きやすい職場で、結婚して出産、子育てをしながら活躍されている女性の先輩方は、私の目標像でもあります。
JFOODOは設立からまだ間も無く、現在は生産者や販売者にプロモーションへの参加を促している段階ですが、今後はプロモーションへの参加により海外での売り上げが大幅に拡大することが認知されて、日本の生産者や販売者の方からプロモーションに参加したいとお声掛けいただけるような組織になれたら嬉しいです。
学生時代にバッグパッカーで40カ国以上を周り、海外で日本製品を目にするたびに、将来は日本のものを海外に広める仕事に携わりたいと考えていました。世界を巡ると、いかに日本のものが信頼されているかが分かります。その分責任もありますが、今この職場で国を背負って仕事ができることにやりがいを感じています。
JFOODO作成・水産物のプロモーション動画
日本食品海外プロモーションセンター JFOODO
https://www.jetro.go.jp/jfoodo/
"食材" - Google ニュース
November 12, 2020 at 11:00PM
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日本の食材を世界でブランディングするJFOODO - Forbes JAPAN
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