
ジョージアの菓子店に入ると、ショーケースの中に決まって目にするケーキがあります。「ナポレオン」です。サクサクのパイ生地でクリームを包んだ、いわゆるミルフィーユのことですが、なぜ、ジョージアでフランスの英雄の名前が付いた食べ物が人気なのでしょう。そのルーツを探ります。
ナポレオンの発祥はもちろん、フランスです。19世紀初頭に誕生したとされ、薄いパイ生地のミルフィーユにクリームをはさんで何層にも重ねる独特なスタイルのお菓子です。皇帝ナポレオン1世にちなんだネーミングも相まって、世界中に広まりました。 日本では「ナポレオンパイ」、もしくは「イチゴのミルフィーユ」という呼び名で親しまれています。今でこそイチゴがのせてあったり、中に入っていたりするのが主流ですが、私が子どものころにはプレーンなタイプも売れていました。 そしてジョージアでよく目にするのもイチゴがないものです。 私は1990年代初頭から2018年までジョージアを何度も訪問してきましたが、菓子店にはいつもナポレオンが並んでいました。
ジョージアで初めて食べたナポレオンは、滞在先のお母さんの手作りでした。 ペレストロイカ直後の1993年ごろ、古都カへティアに住むミラさんという方のお宅にお世話になったことがあります。 カヘティアには大小含め多くのワイナリーがあり、どの家でもジュースのようなフルーティーな自家製ワインを作っていて、がぶがぶと飲んでいたのにも驚きました。 ミラさんは当時80代のお母様と一緒に暮らしていて、彼女はとても料理が上手な方でした。私は様々な郷土料理を教わりましたが、その中にあったのがナポレオンでした。 ちなみにほかの料理は、ハチャプリ、ヒンカリー、ナスのペースト、サツィヴィ(鶏のくるみソース煮)、タバカ(鶏の開きのグリル)、ブリンチキ(キャベツの炒めたものなどを入れて、春巻きのような形にし、バターで焼く料理)といった、この国の定番メニューでした。
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