くっきりと輪郭が縁取られて、2次元の絵のように見える「2Dケーキ」が人気を呼んでいる。漫画に出てきそうな見た目から、「コミックケーキ」とも呼ばれる。立体映像「3D」や体感型映像「4D」が浸透する中で、なぜ、いま注目されているのだろう。(竹中文)
漫画根付く日本で
人気の理由を探ろうと訪れたのは、東京都新宿区の「2D Cafe」。ショーケースには、2Dケーキ(770円)が並ぶ。土台はショートケーキで、側面や上には白い生クリームがたっぷり。その境目には「麻炭パウダー」が入ったクリームが塗られている。
この黒いクリームが輪郭を際立たせ、まるで絵の中から飛び出してきたようなたたずまいに。口に含むと、ほんのりとした甘さがしばらく残った。
「最近は夕方までに売り切れることが多く、人気の高さを実感している」と語るのは店のオーナー、韓智愛(はん・ちえ)さん。韓国生まれで、日本に30年ほど住んでいるという。韓国で2次元空間にいるように感じられるカフェが注目を集めていた令和元年、日本で「2D Cafe」をオープンさせた。
「漫画文化が盛んな日本で絵の中に入ったような気分になるカフェをオープンさせたかった」
韓さんによると、来店客の約3割は外国人で、観光客も多いという。漫画文化が根付く国ならではの現象かもしれない。
この店で「2Dケーキ」を堪能できるようになったのは今年2月から。修学旅行中に訪れた名古屋市の女子中学生(14)は「交流サイト(SNS)で見たときから食べてみたいと思っていた」と2Dケーキを見つめて声を弾ませた。
だまし絵のような
2Dケーキの土台になるのはショートケーキだけではない。料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」で「2Dケーキ」と検索すると、シフォンケーキやロールケーキが目に留まる。「3Dや4Dがあふれているからこそ、逆に2Dが今の若い人たちには目新しく映るのかもしれない。だまし絵のような痛快さが感じられるところもポイントになっている」
こう分析するのは「クックパッドニュース」の編集長、植木優帆さんだ。SNSの投稿者は視聴回数や高評価が稼げるようなインパクトのある画像や動画を重視する傾向にあるという。インターネット上には爪を縁取った「2Dネイル」の画像や、立体的な人形を絵のように見せる「2Dフィギュア」の制作動画も見受けられる。植木さんは「一瞬、『脳がバグる(異常を感じる)』ようなコンテンツが人気」と指摘した。
「自分らしさ」表現
高校生も関心を寄せている。そんな調査結果を示したのは10代に特化したマーケティングを行う「アイ・エヌ・ジー」だ。今年2月に高校生の男女100人にアンケートを行い、「渋谷トレンドリサーチ」として公表。「今、流行(はや)っている食べ物」で、2Dケーキが3位に。1位は硬貨の形の「10円パン」、2位は洋菓子「カヌレ」だった。
2Dケーキの魅力について、担当者は「輪郭を足すなどSNS投稿者が自身で手を加える余地があるのがポイント。手を加える作業工程も含めて『SNS映え』を狙える」とする。
ケーキの輪郭を描くムーブメントはネット上で加速。また最近は、ケーキに菓子などを飾りつける「JKケーキ」も女子高校生らの間で話題だ。「高校生たちが『自分らしさ』を表現できる〝手作りのカワイイ〟を求める傾向が影響しているのではないか」と担当者。ひと手間を加えるだけで、写真や動画で映える。こんなところが、SNS時代に脚光を浴びる要因なのだろう。
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