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Tuesday, June 6, 2023

【井上孝司の「鉄道旅行のヒント」】「これどこで撮ったんだっけ?」を解決するジオタグとは - トラベル Watch

車窓の風景に惹かれるものがあり、すかさずパチリ。ところで、これはどこで撮ったものであっただろうか?

 なにも鉄道旅行に限った話ではないが、「旅の記録」としていろいろ写真を撮る。それはいいのだが、撮った写真をあとで見返したときに「はて、これはどこで撮ったんだっけ?」となった経験はないだろうか。

ジオタグを付けてあれば、当該JPEGファイルのプロパティを表示させると、そこで撮影場所の緯度・経度を確認できる。ちなみにこの写真は、根室本線の音別~白糠間、馬主来(パシクル)沼付近だ

ジオタグがあれば問題解決

 鉄道旅行において、特に「どこで撮ったんだっけ?」問題が発生しやすいのは、車窓を撮影する場面ではないかと思われる。よほど特徴のある、広く知られている風景ならともかく、「あっきれい」などといってパッと撮ったものだと、あとで場所が分からなくなる。

 もっとも、デジタル時代になってから、問題はいくらか緩和された。行程をきちんと記録していれば、それと撮影時刻を照合することで、ある程度のあたりはつけられるからだ。しかしあくまで「ある程度のあたり」である。

 その問題を解決しようとすれば、ジオタグの登場を願うのが最善となる。撮影日時をはじめとする各種情報とともに、撮影場所の緯度・経度に関する情報を記録するものである。

 スマートフォンなら、GPS(Global Positioning System)をはじめとするGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信器を内蔵しているのが普通だから、それを利用して勝手にジオタグを付けてくれる。もっともそれゆえに、撮った写真を不用意にネット上に投稿すると「所在地バレ」のリスクにつながるのだが、それはまた別の話。

 では、スマートフォン以外のデバイスではどうするか。大きく分けると3種類の方法がある。

カメラ内蔵のGPS受信器を使う

 まず、カメラによってはGPS受信器を内蔵しているものがある。筆者が使用している機材では、EOS 5D Mark IVとEOS 7D Mark IIが該当する。設定画面でGPS受信器を有効にしておけば、撮影した写真にジオタグが付く。

 ただし、更新間隔には注意が必要だろう。更新間隔が長いと、走行中の列車では実際の位置より遅れた位置情報が付いてしまう可能性がある。GPS受信器をオンにするとバッテリの消費が増えるが、更新頻度を高くすると、ますますバッテリの消費が増える可能性があるのは悩ましいところ。

カメラ外付けのGPS受信器またはスマートフォンを使う

 メーカーによっては、アクセサリシューに取り付ける外付けGPS受信器を用意していることがある。筆者の手元にはキヤノンのGP-E2があり、これはEOS RP、EOS R5、EOS R10のいずれにも対応する。

 これをアクセサリシューに取り付けて電源を投入、カメラ側でもGPS機器として「GPSレシーバー」を使用するように設定しておけばよい。カメラとレシーバーが物理的につながっているから、確実性が高い。

EOS R5に、純正オプションのGPSレシーバー「GP-E2」を取り付けた状態
「GP-E2」をアクセサリシューに取り付けると、「GPS機器の選択」として「GPSレシーバー」の選択が可能になる。ただしこちらはEOS RPの画面

 それと比べると、確実性の面でやや見劣りするのだが、カメラとスマートフォンとBluetoothでペアリングして、スマートフォンで動作させる専用アプリを用いる方法もある。

 電波状況やスマートフォンのGNSS測位状況によっては、これがうまく機能できず、ジオタグが付かないことがあるのが悩ましい。一方で、スマートフォンがGPSレシーバーの機能を兼ねてくれるから、荷物が増えない利点がある。

 キヤノンの場合、「Camera Connect」(Android/iOS)というアプリがあって、ペアリングした相手のカメラで撮影したデータにジオタグを付けたり、撮った写真を自動的にスマートフォンに取り込んだり、スマートフォンをリモコン代わりに使ったりできる。

「Camera Connect」の画面例。これはEOS R10に接続した状態。複数のカメラを登録できるので、取っ換え引っ換えしても大丈夫だ
「Camera Connect」を使用するときには、カメラの側でBluetoothを有効にしたうえでスマートフォンとペアリングする必要がある
「GPS機器の選択」で「スマートフォン」を選ぶと、ペアリングしたスマートフォンのGPSレシーバーで得た位置情報がカメラに送られてくるようになる

GPSロガーで記録したデータを使う

 近年ではあまり流行らない製品のようにも見受けられるが、GPSロガーという機器がある。電源を入れておくと、一定間隔で緯度・経度などの情報を記録し続けて、ログファイルを記録する。

 それをPCに取り込んで、専用のソフトウェアを使えば、カメラで撮影したデータにジオタグを付けることができる。撮影データの撮影時刻と、GPSロガーが記録した緯度・経度情報の時刻を照合して、マッチングしたものをジオタグとして付加するわけだ。

筆者手持ちのソニー製GPSロガー。最近は出番が少なくなったが、依然として即応体制を維持している

 この仕組みがうまく機能するかどうかは、カメラの時刻が正確に設定されているかどうかに依存する。カメラの時刻設定がズレていると、そのカメラで撮影した写真の撮影時刻情報もズレてしまうから、GPSロガーで記録したデータとのマッチングがうまくいかなくなる。マッチングできたとしても、位置がずれる。

 GPSロガーのメリットは、単に写真にジオタグを付けるだけでなく、自分が移動した軌跡をあとから追えることだろう。列車に限らず、徒歩やバスやレンタカーやタクシーなどで移動したときも含めて、あとから「どこを通ったんだっけ?」となったときに便利だ。

 もっとも、ときどき測位に失敗して、とんでもない場所を記録することがあるのは御愛嬌。過去には、軌跡のデータが日本からいきなりサハラ砂漠のド真ん中に飛んで、また日本に戻ったことがある。

 筆者の手元には、ソニー製の「GPS-CS3K」がある。ただし、ログと撮影データのマッチングに使うソフトウェアが更新されなくなり、「写真とのマッチングはできるが、軌跡表示ができない」状況になっている。このソフトウェアは地図の表示にGoogleマップを用いているが、Googleマップの仕様が変わってしまったために、こんなことになってしまった。

旅行だけでなく沿線での走り撮影でも重宝する

 実は、撮影した写真にジオタグを付けておくと、旅行のうち「移動」の部分以外でもメリットがある。例えば沿線で列車の撮影を行なったときに、「どこで撮ったのか」が分からなくなるような事態を回避できるからだ。

 それも含めて、ジオタグを付けておくと、旅の記録をあとから振り返るような場面で役に立つので、可能な限り活用したい。

OSが持つファイルのプロパティ表示機能だけでなく、画像ビューアでジオタグをはじめとする撮影データを確認できることもある。このほか、ネット上の地図サービス、あるいはスマートフォンの画像ビューア機能を用いて、写真の撮影場所を地図にプロットできることもある

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