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Thursday, July 30, 2020

「もったいない」が合言葉 “ごみ箱ダイバー”が日本を旅し廃棄食材で料理する - goo.ne.jp

「もったいない」が合言葉 “ごみ箱ダイバー”が日本を旅し廃棄食材で料理する

David Gross/1978年、オーストリア生まれ。10代後半から料理を学び、大学ではジャーナリズムを専攻。ごみ箱から集めた食材を料理し無料で提供する「0円キッチン」プロジェクトをYouTube番組として展開し、話題に。映画「0円キッチン」(2015年)ではヨーロッパ5カ国を巡った (c)Daniel Samer

(AERA dot.)

 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

*  *  *
 映画監督で食品ロス活動家──。オーストリア出身のダーヴィド・グロス(41)はそんな稀有(けう)な肩書を持つ。まだ食べられるのに捨てられてしまう食材を集め、新たな料理を生み出す。そんな“食材救出人”として一歩を踏み出したのは、8年ほど前。グロスが暮らすザルツブルクのスーパーの裏にある巨大なごみ箱に、大量の食材が捨てられているのを目にしたのがきっかけだった。

「新鮮な野菜、果物……なんでもあったよ。ザルツブルク市内のすべてのスーパーのごみ箱から食材を集めたらどれくらいの量になるだろう? オーストリア全体では? と想像してみたんだ。“ごみ箱ダイバー”として廃棄食材で料理をつくるようになったら、周囲の何人かには『頭がおかしいんじゃない?』と思われていたみたいだけれどね(笑)」

 グロスの新作「もったいないキッチン」は日本が舞台だ。

 前作「0円キッチン」(2015年)のプロモーションで日本を訪れた際、「もったいない」という言葉に出合った。

「『無駄にしない』と訳すのではニュアンスが違う、日本ならではの表現。社会が抱える問題を表している言葉であり、解決策を見つけ出そうとする姿勢を表す言葉でもあると感じたんだ」

「廃棄食材だけを使い料理をする」をテーマに、昨年4週間かけ日本中を旅した。

 東京ではナスのヘタまで丁寧に調理された精進料理を口にし、福島ではネギ坊主を使い料理をするシェフと生産者の強い絆を目の当たりにする。食品ロスの問題と貧困問題を合わせて考えられないかと、路上生活者たちが多く暮らす大阪の「あいりん地区」にも足を運んだ。グロスと人々の出会いを通して、私たちの視野もぐっと広がっていく。

 消費期限切れの食材が大量に廃棄されるコンビニの裏側を取材した際には、そこで働く人々のなかにある葛藤を感じたという。

「コンビニ業界で働いている方々も、食べ物を無駄にしたいわけじゃない。ただ、個人の力でシステムを変えていくことは難しい」

 たとえばフランスでは16年に、消費期限切れの食材を廃棄することを禁止する「食料廃棄禁止法」が制定された。グロスによるとベルギーやルーマニアといった国々でも法制化されるなど、欧州では食品ロスを巡る大きな流れが生まれているという。

 地球規模の課題を扱いながらも、作中に流れる空気は明るく軽やかだ。食に携わる人々の豊かな感性が心に残る。

「『こうしなければダメ!』と声高に叫びたかったわけではないんだ。僕も仕事に追われ、忙しくしているときは食材を無駄にしてしまうこともあるしね。自分が心を開くことで、相手も自然と心を開いてくれたように思う」

 コロナ禍が過ぎ去った後には“あの大国”に行ってみたいという思いがある。

「いつの日かアメリカを旅し、廃棄食材で料理をつくってみたい」

◎「もったいないキッチン」
食品ロスは世界トップクラスといわれる日本を巡り、廃棄食材で料理を生み出す。8月8日から順次公開

■もう1本おすすめDVD「TOMORROW パーマネントライフを探して」

 地球の環境問題について人々が強い関心を寄せるようになったいま、映画においても「サステナブル」をテーマにしたドキュメンタリーが多く誕生している。

 フランスの人気俳優メラニー・ロランが共同監督を務めた「TOMORROW パーマネントライフを探して」(2015年)は、ロランが子どもを持ったことをきっかけに、地球の未来について考えるべく世界を巡ったロードムービー。16年のセザール賞ベストドキュメンタリー賞を受賞した。

 農業、エネルギー、経済、民主主義、教育の五つの分野を切り口に、先進的な取り組みを行う都市を訪れ、ロランと同世代の友人たちが素朴な疑問をぶつけていく。アメリカの工業都市デトロイトで始まった都市農業プロジェクト、化石燃料依存からの脱却に成功したアイスランドのレイキャビクの事例などが美しい映像とともに描かれる。

 作中に登場するある女性は「“地球を救おう”ではなく、身近なところから始める」と口にする。映画「もったいないキッチン」にも通じる考えであり、大人から子どもまで世代の異なる人々と観て意見を交わしたい一本だ。

◎「TOMORROW パーマネントライフを探して」
発売元:ミッドシップ 販売元:紀伊國屋書店
価格4800円+税/DVD発売中

(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2020年8月3日号

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