日曜と月曜の朝10時、オンラインだけで売り出されるチーズケーキが毎週のように完売する。ブランド立ち上げから2年余りが経った現在も人気は衰えないのは「Mr.CHEESECAKE」(ミスターチーズケーキ、以下ミスチ、東京・渋谷)。田村浩二代表はミシュランの星付きレストランなどで修業を積んできた一流シェフだ。
ミスチは注文した数日後、冷凍便で宅配される。包みを開いた瞬間に広がる、豊かな香り。冷蔵庫内や常温で解凍すると、ブリュレのような滑らかさになり、香り高さがいっそう増す。アイスクリームに近い冷凍状態、凍った食感と滑らかな食感が響き合う半解凍状態と、ケーキ一つで異なる味わいを楽しむこともできる。
親しみやすいのに、奥深い。懐かしいのに、新しい。濃厚なのに、軽やかに溶ける――。一見、矛盾しそうな形容詞が当然のように同居してしまう。それがミスチを味わったときの印象だ。
「チーズケーキは基本的にどこの菓子店でも売っていて、皆が一度は食べたことがあるもの。『誰もが知っているもの』で、『誰も食べたことがないようなおいしさ』を生み出せたら、多くの人を幸せにできると考えました」(田村氏)
ミスチはこうした田村氏の思いの具現化に成功している。意思を貫徹するものづくりを支えているのは、「努力のしかた」にとことんこだわる田村氏の性質だ。
少年時代から、物事への打ち込み方はあまり変わらないという。小学校から高校までは、野球に全力を注ぎ込んだ。だが、「誰かに言われたから」「周囲がそうしているから」では動かない。独自に目標を設定し、どんな努力をすべきかを論理的に導き出すのが「田村流」だ。
今でこそ、身長180センチを超えるたくましい体つき。しかし、「高校入学当時はひょろひょろのやせ型」だったという。選手としてのパフォーマンスを向上させようと、筋力増強の目標を自ら設定。栄養学やトレーニングに関わる本をひたすら読み込み、適切なカロリー量、必要な栄養素、摂取すべきタイミングまで学んだ。そうした取り組みの結果、高3の春には20キロほどの増量を達成した。
「筋力が付くと、足が速くなって、肩が強くなって、ホームランも打てるようになった。うれしかったのを今でも覚えています。根性だけでがむしゃらに頑張るのではなく、目標を持ち、それを達成するための正しい努力の方法を見極め、実践していく。そうすれば必ず成果として返ってくるのだという確信は、野球を通して得ることができました」
からの記事と詳細 ( 画期的なチーズケーキを「発明」 原点は野球での挫折|出世ナビ|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞 )
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