これまでの連載で触れた「Windows 11の機能アップデートの秘密」と題した記事の中で、Windows 11における「Moment Update」の概念について紹介した。従来、年2回単位でやってくる「大型アップデート(機能アップデート)」とは異なり、「22H2」などのバージョン名で呼ばれていた“大型アップデート”が「Windows 11 2022 Update」の名称で年1回やってくるのとは別に、より細かな機能アップデートが「年数回」単位で提供される仕組みとなっている。
同記事でも触れているように、Microsoftは定例となるバグや脆弱(ぜいじゃく)性訂正のためのセキュリティアップデートを毎月第2火曜日(米国時間)に提供しているが、それとは別に機能修正や追加を行う「“C” Update」という月例アップデート“サイクル”も持っている。
「Delivering continuous innovation in Windows 11」という記事のタイトルにもあるように、Microsoftでは“Continuous Innovation”という形でWindows 11に対する“定期的な”機能アップデートの仕組みを考えており、前述の「年1回の大型アップデート」に加えて、「“Servicing Technology”を使った“Periodic Update”(定期的なアップデート)」も行っていくとしている。
はっきりとは触れていないものの、ここでいう“Periodic Update”とは単なる「“C”Update」とは異なり、Microsoft内で「機能アップデートの提供をある程度の“区間”を区切ったグループ単位」で考えているとウワサされている。
一部にはこれを「Moment Update」と呼んでおり、その提供単位を「Moment 1」「Moment 2」のように呼称しているという流れだ。
Moment 1とMoment 2、そしてMoment 3
この表現を多用しているのは、前回のレポートにもあるようにNeowinだ。概念としては従来ながらの“大型アップデート”があり、それに加算されるような形でMoment 1、Moment 2のように続く。オリジナルのWindows 11 2022 Updateは2022年9月20日(米国時間)に提供が開始されており、10月に提供された「“C”Update」が「Moment 1」に該当するとNeowinでは説明している。
後述するが、続く「Moment 2」は2023年早期での提供が予定されており、本来であれば次の“大きな”機能アップデートは同時期にやってくるはずだが、実際には11月の“C”Updateではタブ付きエクスプローラといった機能が提供されるなど、前後で比較して“一番大きなアップデート”となっている。Neowinによれば、これはMoment 2でうたわれる機能が先行する形で導入されたもので、実質的にMoment 2の一部だとしている。
このMoment Updateに関する概念は、従来の22H2のようなバージョン表記やビルド番号による区別が存在しないため、はた目からはその違いが判別できないのだが、もともとこのキーワードを紹介したWindows Centralのザック・ボーデン氏によれば、Microsoft内部で呼んでいる“コード名”のようなものであり、前述のContinuous Innovationを提供するにあたってのリリースサイクルを表しているという。
同氏の最新のレポートによれば、下記の数カ月程度のリリース周期を見込んでいるようだ。
・Windows 11 22H2 Moment 2:2月または3月
・Windows 11 22H2 Moment 3:5月または6月
・Windows 11 23H2 Moment 4:9月または10月
前述のように、11月の“比較的大きな”アップデートはMoment 1ではなくMoment 2に該当するものであり、ボーデン氏によれば、Moment 2ではどちらかといえば「タブレット状態でWindowsを利用するユーザー向け」の機能が豊富で、そのあたりは「タブレットモード時のタスクバー(表示領域が拡大してタッチ操作がしやすくなる)」や、「システムトレーの変更(表示されるステータスの情報が増える)」といった部分に表れている。
詳細は同氏の記事を確認してほしいが、この他、全体に表示や検索機能などUI回りの変更点が多いため、操作性の改善を目指したアップデートが中心のようだ。
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「Moment 4」の正体とは?
このように、Moment Updateではある程度の“テーマ”に沿った改良が行われることが多いようだが、Moment 2がタブレットを中心としたUI回りの改良が多かったとすれば、「Moment 3」では「折りたたみ式PC」に関するアップデートが多いという関係者の話をボーデン氏は紹介している。
Microsoft関連の最新情報やリーク情報に詳しいTwitterアカウントのWalkingCatによれば、いわゆる次期“Moment”は5〜6月のタイムフレームだとしているが、ボーデン氏の指摘を受けて「正確には“より大きな”アップデートかもしれない」と加えている。
つまり、ボーデン氏のいうMoment 2よりもMoment 3での変更点の方が大きいことを示唆している。
さて、問題はボーデン氏のいう「Moment 4」の正体だが、単なるバージョン「23H2」の提供なのか、あるいはMoment 4という特別なアップデートなのか、その位置付けは現時点で分からないと同氏は説明する。
同氏はもともと「23H2はキャンセルされた」という話をしていたが、Microsoftではそれは否定しており、従来ながらの“大型アップデート”は「年1回」単位でやってくると引き続き説明している。
いずれにせよ、C Updateと呼ばれる機能アップデートの比較的大きな波はおよそ「3カ月おき」にやってくる可能性は高いわけで、この一連のMoment Updateの正体が何なのか、次のMoment 2やMoment 3のタイミングで判明することになるだろう。
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からの記事と詳細 ( Windows 11における「Moment Update」の謎と続報:Windowsフロントライン(1/2 ページ) - ITmedia PC USER - ITmedia PC USER )
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