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Monday, November 6, 2023

Vine VRヘッドセットが宇宙へ! 目的は宇宙飛行士のメンタルサポート - GIZMODO JAPAN

HTCが開発するVRヘッドセット「Vive Focus 3」が、国際宇宙ステーションへ飛び立ちます。目的は宇宙飛行士のメンタルサポート。

国際宇宙ステーション滞在をVRがサポート

宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)内で移動できる空間は、船内の109mほど。この狭いスペースで最短でも6ヶ月ほど過ごすことになります。

宇宙滞在中の精神面のケアは重要視されていますが、昨今ますます注目を集めるVRヘッドセットがその役を担えるかもしれません。

現在、現地時間で11月7日午後に打ち上げが予定されているSpaceXの29回目の商業補給サービスにて、Vive Focus 3がISSに向かいます。

ISS到着後最初にヘッドセットを装着するのは、欧州宇宙機関のアンドレアス・モーゲンセン宇宙飛行士の予定。モーゲンセン宇宙飛行士は今年の8月からISSに滞在中で、今回2度目のISSミッションというベテランです。

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アンドレアス・モーゲンセン宇宙飛行士
Photo: ESA

今後のVive Focus 3利用は、今回のお試し次第。モーゲンセン宇宙飛行士のミッションは、来年前半までを予定しています。

宇宙飛行士の最大のストレス

宇宙飛行士にとって、新鮮な空気がないとか自然光がないとか感覚への刺激が少ないなどの問題は多くありますが、最も大きいのは孤独閉塞感にあります。もちろん、自ら望んでISSにやってきたわけですが、それでも限られたスペースしかないストレスは発生します。

これらのストレスが行動に影響するリスクを軽減させるため、NASAもさまざまな対策をしており、LED照明、ノイキャンイヤフォン、アイマスク、睡眠個室などが準備されています。とはいえ、この対策だけでは限界あり。

そこで、ストレスやうつ、不安症などメンタルへの治療にも採用されてきたVRにおける没入体験に期待を寄せています。

HTCの企業向けソリューション部門のThomas Dexmier氏は、米Gizmodoの取材に対しこう語ってくれました。

今回のテストのメインとなるのは、バーチャルリアリティが宇宙飛行士のストレス軽減にも効果的なのかどうか確かめることです。地球でうまくいくことはすでにわかっていますから。これで、心が自由に解放されてくれるといいのですが。

宇宙でリラックスできるVRコンテンツ

最新テクノロジを取り入れたバーチャルクリニックXRHealthとHTC Viveが、Vive Focus 3を宇宙空間仕様に調整済み

ISS用のVive Focus 3は、イルカと一緒に泳ぐ、登山をする、丘の向こうに沈む夕日を眺めるなど、地球での心安らぐリラックスシーンをシミュレーションするようデザインされています。

Dexmier氏いわく、

目標は、彼ら(ISS滞在中の宇宙飛行士)が地球にいるときと似た体験をお届けすることです。私自身は宇宙に行ったことはありませんが、任務中の宇宙飛行士は非常に寒く、無菌状態でストレスの高い環境で生活していると聞いています。現実と完全に遮断された世界で過ごす生活は、私には想像すらできません。

宇宙仕様Vive開発での難点

リラックスできるコンテンツは問題ありませんが、ネックとなったのは物理的なところ。宇宙という微重力下で作用するヘッドセットそのものの開発です。

そもそも、VRヘッドセットとは上下の方向を認識するために重力の向きに頼っています。これが微重力下では上も下もごっちゃになってしまうため、装着時の乗り物酔いもたいへんなことに。そこで、ヘッドセットの設計そのものを調整する必要がありました。

安定性を強化し、乗り物酔いを防止するため、HTC Viveチームはヘッドセットのアンカーポイントを根底から変更。コントローラーにアンカーポイントひとつを取り付け、このコントローラーを宇宙ステーション自体に固定してしまうことにしたのです。

これで、宇宙空間でのヘッドセットは、上下がめちゃくちゃな周辺環境からではなく、基準点から判断することができます。

Dexmier氏いわく

物理的世界とバーチャルな世界を完璧にシンクロさせるために、ユーザーとともに動くリファレンスポイントが必要です。でないと、感覚がめちゃくちゃになってしまいますから。そこで、ヘッドセットがどう動くかを見て、ひとつの動きを他の動きで相殺するわけです。

トラブルで地球帰還が大幅に遅れた宇宙飛行士も

アメリカの宇宙飛行士で、1回のミッションでのISS滞在期間最長記録を持つフランク・ルビオ宇宙飛行士。帰還する機体の不具合により、滞在期間が延長され思わぬ長期滞在となってしまいました。

9月末に地球に帰還したルビオ宇宙飛行士ですが、帰還前には

(帰ったら)庭に出て、木々のざわめきを味わいたい。ここ(ISS)では、常に機械の稼働音がしていますからね。屋外でのどかな静けさを味わうのが楽しみです。

と語っていました。

宇宙飛行士にとって屋外での静けさはとっても恋しいものなんですね。

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