特集は、かわいい見た目とバタークリームの味わいが特徴の「たぬきケーキ」です。扱う店が減少し「絶滅危惧種」とも言われていましたが、今、人気が再燃しています。長野県内のたぬきケーキを取材しました。
長野市の権堂アーケードから細い路地を入った先にある「パティスリー・オースガ」。
(記者リポート)
「ありました!ショーケースの中に、かわいいタヌキのケーキが並んでいます」
丸いフォルムにかわいい顔。「たぬきさんケーキ」は店の一番人気です。
2013年の開店後、雑誌の企画をきっかけに販売を始めました。
パティスリー・オースガ・大菅和彦さん:
「オープンして目玉になる商品がないので、どうしたらいいかと思っていたところに(企画で)1カ月間だけでもいいから作ってみようかなというのが始まりで、それから結局、人気があってずっと作っています」
作る様子を見せてもらいました。スポンジにチョコレートクリームを挟んで、「土台」のケーキを作ります。その上にバタークリームをたっぷり。
パティスリー・オースガ・大菅和彦さん:
「顔の部分になってくるんですよね。耳をつけると大体、予想がついてくる」
スライスアーモンドの「耳」をつけたら、チョコレートガナッシュをかけ、指でつまんで「顔」を作ります。
パティスリー・オースガ・大菅和彦さん:
「一番気をつかうのは顔を作るところですかね。かわいくできないと自分でも納得できないんで」
昭和30年代に誕生し、全国に広まったとされる「たぬきケーキ」。昭和50年代までは流行していましたが、生クリームの普及に伴い、扱う店が減り「洋菓子界の絶滅危惧種」と言われるようになりました。
パティスリー・オースガ・大菅和彦さん:
「生クリームに押されてバタークリームの衰退が始まって、若い洋菓子職人はバタークリームになじみがないので、そもそもなかなか作らない」
しかし、数年前から若い世代を中心とした「レトロブーム」の影響で「見た目がかわいい」と人気が再燃。インスタグラムでは「#たぬきケーキ」で2.5万件以上が投稿されています。
客は…
店内で食べた客:
「バタークリームがなめらかで、下のチョコケーキとバランスよくておいしい」
2個購入した客:
「見た目がすごくかわいくて、興味そそられたので買いました」
記者もいただくー。
(記者リポート)
「まろやかなバタークリームと優しい甘さのチョコレートが口の中でとろけます。たぬきさんケーキ、見てよし、食べてよしですね」
最近は誕生日ケーキをたぬきケーキでデコレーションしたり、ホールケーキサイズをオーダーしたりする客もいます。
パティスリー・オースガ・大菅和彦さん:
「年配の方は『懐かしい』、若い方は見た目で『かわいい』と。ずっと愛していただけるケーキにしたいと思っているので、今以上にかわいく、おいしくできるように作っていきたい」
こちらは明治創業の松本市の老舗「翁堂」。たぬきケーキは60年以上の歴史があり、種類も様々。
オーソドックスな「タヌキケーキ」は、バタークリームのロールケーキをチョコレートでコーティング。ピーナツチョコで仕上げた「色違い」もあります。
こちらは「元祖タヌキケーキ」。人気が再燃し始めた5年程前、当初のケーキを復刻しました。
「翁堂」の初代店主・木内象次郎が昭和30年代に東京の講師から作り方を教わったもので、スポンジではなくカステラの切れ端を使っています。
翁堂の「タヌキケーキ」は表情豊か。職人の遊び心です。
翁堂・木内靖さん:
「お客さんが選んでくれるので、いろんなのあった方が面白いんじゃないかと。これはね、フクロウ」
記者:
「ほんとだ、タヌキじゃない(笑)」
翁堂・木内靖さん:
「お客さん分からないといけないので、『フクロー』ってたまに書いたり(笑)」
松本らしい「山のぼりタヌキケーキ」も人気。ストックを持って山を目指すタヌキに木内さんの一言が添えられています。
雑誌やSNSの影響で人気が継続。店には県外からも客が足を運んでいます。
こちらは東京から訪れた女性。以前、本で見かけた「アベックタヌキ」を予約していました。松本から木曽方面へ観光する女性のために、地名プレートのサービス付きです。
東京から:
「かわいかったです、とっても。都内でも絶滅の危機に瀕(ひん)していて、食べる機会も少ない。クラシカルなバタークリームもあまり見なくなってきているので、こういうところに来て買うのが楽しみです」
佐久市臼田で60年続く和洋菓子店「明正堂」。
こちらのたぬきケーキは多くの人に愛されてほしいと「たぬみちゃん」と名付けて、2年前から販売しています。
作っているのは店の代表・田中裕二さん。
バタークリームは幅広い世代に合うよう口溶けを滑らかにし、甘すぎないようにしています。
これをカップケーキの中と上にたっぷりと。チョコレートでコーティングして、目やリボンをつけると、「たぬみちゃん」の完成です。
記者がいただく―。
(記者リポート)
「バターの塩味とチョコレートがマッチしていてとてもおいしいです。口どけがなめらかなのでフォークが止まらなくなります」
実はこちらのケーキは復刻版。父・善助さんが作っていた「たぬきケーキ」を40年ぶりに復活させました。
明正堂・田中裕二代表:
「『かつて若い人』には懐かしくて、『今若い人』には新しいという感覚を伝えていけたら」
表情も工夫しています。
明正堂・田中裕二代表::
「ケースに並べてみて、ただ見ているよりもあっち向いたり、こっち向いたり、愛嬌のある方がよりかわいいのではないかと」
客:
「かわいいですね、ほんとに。愛嬌がありますよね」
この日、作った「たぬみちゃん」は20個ほど。午後4時には完売しました。
明正堂・田中裕二代表:
「昔を懐かしんで年配の方や中高年にも食べていただきたい。若い年代の方にも食べていただいて、将来的に懐かしくなれるお菓子があってもいいんじゃないか」
懐かしさとかわいさで再び人気のたぬきケーキ。県内の店でもファンに支えらえ、しっかり「生息」しています。
からの記事と詳細 ( 人気再燃!たぬきケーキ 「絶滅危惧種」から一転…「レトロブーム」追い風に バタークリームがファン魅了 「年配の人には懐かしく、若い人には新しい」 - FNNプライムオンライン )
https://ift.tt/SNdUei1
No comments:
Post a Comment