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Friday, November 24, 2023

レノボの携帯ゲーム機「Legion Go」はハードウェアの工夫が印象的だがバッテリーは減りやすい:製品レビュー - WIRED.jp

Nintendo Switchが2017年に発売されて以来、ゲーム業界はできるだけ多くのゲームを携帯ゲーム機でプレイできるようにすることを目指してきた。Steam Deck(および最近改善を施した新モデル)はその夢の実現に最も近づいている端末だが、ほかの試みの多くは大きな問題に直面している。とはいえ、第3位の座を巡る混沌とした戦いの中で、レノボの携帯ゲーム機「Legion Go」は魅力的な製品となっている。

説明書のスペックだけで言えば、レノボのLegion GoはAsusの「ROG Ally」に最も近い。Steam Deckのようだが、より大きく優れた画面を搭載し、中身も強力だ。ROG Allyと異なる部分は、こうしたすべての携帯ゲーム機のアキレス腱となっている「Windows」の弱点を克服するために、Legion Goが大胆な変更をたくさん施している点である。

Windows搭載ゲーム機の問題

この分野でNintendo Switch(独自のOSを搭載)やSteam Deck(LinuxベースのSteamOSを搭載)以外の携帯ゲーム機のほとんどはOSにWindowsを採用している。しかし、キーボードとマウスの代わりに、コントローラーで入力する携帯型のタッチスクリーン搭載デバイスでWindowsを操作することはあまり快適な体験ではない。

レノボは、ソフトウェアの問題を解消することにおいてAsusよりよい仕事をしている。デバイスに付属している2つのコントローラーにはそれぞれ、アプリの「Legion Space」へのショートカットとして機能するボタンがある。このアプリからゲームを起動したり、サードパーティ製のゲームストアを開いたり、設定を素早く変更したりできるのだ。

しかし、レノボが実装した操作方法にはわかりにくい部分がある。右のボタンを押す度に左右の画面の異なるメニューが交互に開くのには混乱した。ゲームのランチャーと設定画面が切り替わる仕様なのだ。つまり、設定を開いて閉じた場合、もう一度設定を開くには、ランチャーのメニューを一度開いて閉じ、設定を開くために3回もボタンを押す必要がある。とても奇妙だ。

とはいえ、Legion Goには利点もある。右のコントローラーにトラックパッドが付いているのだ。これは親指を使ってカーソルを動かせるSteam Deckのトラックパッドに似ている。これがWindowsのインターフェースのタッチしたい小さな対象をクリックしたり、コントローラーの入力でうまく機能しないメニューを選択したりするのに超有用なのだ。

このトラックパッドは頻繁に使用する。アプリの「Steam」はコントローラーで操作しやすい「Big Pictureモード」ではなく、デスクトップモードで起動することが多いからだ。ゲームが終わるとWindowsのデスクトップに放り出されたこともある。ゲームの設定画面で基本的な設定を変更するのが簡単なこともあったが、このようなデバイスでWindowsを走らせることに伴う使いづらさを完全に克服できているサードパーティ製のアプリはない。

PHOTOGRAPH LENOVO
PHOTOGRAPH: LENOVO

コントローラーの大胆な仕様

Windowsの使い勝手にいら立つことは多いが、Legion Goのハードウェアは印象的である。Steam DeckやROG Allyとは異なり、コントローラーは取り外し可能で(Nintendo Switchのように!)、本体に取り付けている間にワイヤレスで充電される。左のコントローラーにはコントロールスティック、十字キー、複数のメニューボタン、上部にバンパーとトリガー、背面に任意の機能を設定できるボタンが2つある。

右のコントローラーにはほかにも機能がある。まずは、一般的なゲームプレイ用のボタン4つとコントロールスティックに加えて、トラックパッドが付いている。よくある右バンパーとトリガーもあり、さらに右側の側面に3つ目のバンパーがある。背面にはM3とY3とラベルの付いたボタンが2つある。これは小指のほぼ直下に位置する。このボタンを誤って押してしまうことが度々あった。右トリガーの直下にはスクロールホイールもある。

ボタンの配置は複雑だが、FPS(ファーストパーソンシューティング)モードを試すとなぜこの配置になっているかがよくわかる。このコントローラーはNintendo Switchのコントローラー「ジョイコン」よりも大きな手を想定して設計されているが、軽いので本体から取り外したときも快適に使える。

きれいな大画面

このゲーム機はIPS方式の巨大な液晶画面を備えている。サイズは8.8インチ、解像度は2,560 x 1,60p、最大リフレッシュレートは144Hzだ。過剰な性能かもしれないが、贅沢な印象を受ける。ゲーム機の背面には、有機ELモデルのNintendo Switchに似た幅の広いスタンドが付いている。このスタンドは頑丈で安定しており、十分な角度に対応している。従って、画面を立て、本体から取り外したコントローラーで少し離れた場所からプレイしても、目を凝らすことなく画面のすべてを見ることができるのだ。

最後に、上部と下部に1つづつUSB-Cのポートがある点はとても気に入っている。本体を手に持ってプレイしても、ゲーム機をテーブルに立ててプレイしても、充電器とつなげることができるのだ。任天堂はこの点をメモに取っておいてほしいと思った。

FPSモードが新鮮

Legion Goが提供する最も大胆な機能は「FPSモード」と呼ばれるものだ。このコントローラーのモードでは、左のコントローラーは通常どおりに持つが、右のコントローラーは小さなプラスチックのディスクに差し込んで使う(磁気で取り付ける方式だ)。そしてコントローラーをジョイスティックのように立てることで、マウスのように使えるのである。デスクの上を滑らせると、一般的なマウスと同じように、カーソルとカメラが動くのだ。

FPSモードにした途端、先述したボタンの複雑な位置の理由が理解できる。側面のボタンは人差し指の下に位置する。手に持ってプレイするモードでは、小指が当たっていたM3とY3ボタンは親指の直下に位置し、それぞれ個別に押しやすい。両方の使い方ができるいいとこどりの配置というわけだ。左手では制約の多い「WASDキー」の代わりにコントロールスティックを、右手では精度の高いマウスを使える。これはある意味天才的な設計だ。

とはいえ、数十年のゲームプレイで覚えたやり方と違うので最初は混乱する。このコントローラーを長く使えば(そしていくつかのボタンの機能を変更すれば)、使いこなせるようになるかもしれない。しかし、それには労力が必要だ。

FPSモードはこの種のゲーム機に付随する制御とUIの問題を魔法のように直してくれるわけではない。それでも、これはゲームを制御する方法を大胆かつ、おそらく意見がわかれる新たな方法を提案している。

バッテリーがどんどん減る

しかし、バッテリーもちが悪ければすべて台無しである。レノボもこの問題を解決できていない。しかし、さまざまな設定を調整することで、競合製品よりもバッテリーの持続時間を延ばすことができる。

Legion Goは49.2ワット時のバッテリーを搭載しており、これはSteam DeckやROG Allyのバッテリーより約25%も大きい。設定には、性能を調整するためのいくつかの簡易的なオプションがある。これには放熱の設定、OSのパワーモードの切り替え、解像度、リフレッシュレート、ファンの最高回転速度の調整機能などが含まれている。これらのツールと、ほとんどのPCゲームが提供しているグラフィックスの設定を微調整することで、バッテリー持続時間を延ばせるというわけだ。そしてこれらを駆使することは必須である。

FPSゲームの「Doom Eternal」をプレイするとき、バッテリー持続時間の最適化のために10分かけて設定を調整した。今回は解像度を1,920 x 1,200p、フレームレートを60フレーム/秒に設定し、ゲームのグラフィックス設定の一部を最低水準にしている。この設定で1時間40分、ゲームをプレイできた。おそらく解像度やフレームレートをさらに下げれば、もっとバッテリーの持続時間を延ばすことはできるが、「Doom Eternal」ではこの水準が妥当だ。

シミュレーションRPGゲーム「Stardew Valley」でのバッテリーの持続時間は思ったほど延ばせなかった。解像度を1,920 x 1,200p、リフレッシュレートの上限を60Hzに設定したが、バッテリーを使い果たすまでに約3時間しかプレイできなかったのだ。これはROG Allyよりわずかによい水準である。解像度をさらに下げることで、もう少しプレイ時間を伸ばせるしれない。しかし、Nintendo SwitchやSteam Deckでは6〜8時間(これ自体も突出した性能ではないが)プレイできることを考えると、あまりよくはない。

携帯ゲーム機のWindowsはバッテリーを大量に使う。ある晩、Legion Goを100%まで充電し、バッグに入れてそれ以降は一切触らなかった。翌朝見ると、バッテリーがなくなっていた。Windowsの内部ツールでバッテリーの推移を確認したところ、午後7時に100%、午後9時に69%、午後10時に39%だった。そして夜寝る前までに残量が完全になくなっていたのである。

WindowsはLegion Goをちょっと変わったノートPCだと思っている。だから、バッテリーにやさしくないのだ。バッテリー残量が約5%になると、Windowsはバッテリー残量が減っていることを通知してくる。この通知は非常に邪魔だ。ゲームが中断され、ゲームの世界に戻ることが難しくなる。

常に充電していなければならない携帯ゲーム機に700ドル(約10万4,000円)も費やす魅力はあるだろうか?解像度2,560 x 1,600pの画面も、バッテリーを数時間以上もたせるために解像度を下げなければならないのであれば使い物にならない。

レノボは果敢に挑戦した。Windowsを少し使いやすくしたのだ。トラックパッド、FPSモード、取り外し可能なコントローラーには、どれも価値がある。

設定を調整し、UIのぎこちなさに対処する意欲があれば、Legion Goは現時点でおそらく最良のWindows搭載のゲーム機である。とはいえ、シンプルに使いやすいゲーム機が欲しいのなら、Nintendo SwitchまたはSteam Deckを手に入れるべきだ。

◎「WIRED」な点

高解像度の美しい画面。取り外し可能なコントローラー。マウスのように使えるFPSモードは特徴的で、練習すれば役立つかもしれない。優れたスタンド。上部と下部にUSB-Cの充電ポートがある。

△「TIRED」な点

Windowsとそれに伴う使いづらいインターフェース。設定を色々調整しても、バッテリーの持続時間が1〜3時間しかもたない(これもWindowsのせいである)。画面の解像度を最高に設定するとバッテリーの減りはさらに早くなる。メニューの操作方法には非常にわかりづらい部分がある。

WIRED US/Translation by Nozomi Okuma)

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